人・物・金を使って開発プロジェクトを成功に収めるために、規模が大きければ大きいほど、プロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーに期待される役割と責任は重くなります。ドン・キホーテのような情熱だけの身の程知らずで風車に突っ込まれていては、とても成功など覚束ないのです。
プロジェクトの始動にあたりプロジェクトリーダーは、まずプロジェクト・スコープを作成してプロジェクト目標を明確にし、プロジェクト全体の概要をメンバーに理解してもらわなければなりません。そしてメンバー個々との話し合いで、それぞれの業務についておよそ必要となる情報すべてを漏らさず聞き取る必要があります。すなわちタスクごとの所要時間や様々な費用、あるいは部品等の調達先などです。これを基にプロジェクトリーダーがスケジュールの他、予算計画やリスク計画表などを作成し、キックオフ・ミーティングにメンバー全員を招集します。もちろんこの際に提示するスケジュール表などはあくまで叩き台であり、メンバーからのフィードバックを受けて詳細に検討し直します。更に練り直したプランをプロジェクトの運営委員会に提示して承認を受ければ、ようやくお墨付きの最終プランとなったプロジェクト・スコープやスケジュールを全員に通知して徹底します。
プロジェクトの成否は、プロジェクトに関わるすべての人が同じ方向を向いているかどうかにかかっています。従ってプロジェクトリーダーが作成するプロジェクト・スコープは、プロジェクトの必要性や目標、位置付けなどを明確に記して会社幹部にも素直に理解されるものでなければなりません。一方のメンバー全員の間でも、運営委員会の承認に先立って、十分その意義と計画を共有しておく必要があります。またプロジェクトを大きく複数のフェーズに分解し、この一つ一つのフェーズを更に細かくタスクに分解した業務分解表を作成します。各メンバーからの業務内容の聞き取りから現実的で正確な業務分解表を作成することができれば、プロジェクトは成功へと大きく傾きます。そしてその作成過程において同時にプロジェクトの節目、すなわちマイルストーンが明らかになるため、プロジェクト・スケジュール全体の輪郭がはっきりしてきます。
上記のプロセスをたどってようやく具体的なスケジュール管理を考える段階になりますが、その際にはガントチャートが便利です。タスク間の連携や順序などを考える上で役立ち、クリティカル・パスと呼ばれる最も効率的なタスクの連続を導き出すことで、プロジェクトの完成に必要最低限の所要時間を弾き出すことができます。様々なリスクを具体的に想定することで予測できる遅延や障害をあらかじめ避けられるよう、あの手この手を講じながらガントチャートを使いこなすセンスが、プロジェクトリーダーには必要です。